実物と写真
突然ですが、皆さん、生の廃墟って見たことありますか?
実際に、自分の目で。
本やネットの写真じゃなくてだよ?
あります? 別に廃墟だったら何でもいいです。
近所に昔からある謎の洋館でも、山頂の廃リゾート地でも、観光地の廃ホテルでも、何でもいいです。
で、実際見てみて、実物の廃墟って......
......どうですか?
正直、(廃墟にもよりますが)汚くて不気味なだけの存在じゃありません?
そう。
実物と写真とでは、写真の方が確実に”いい廃墟”を映し出していると思われます。
写真であればいくらでも加工は可能ですし、廃墟の負の部分を削って”美”のみを残すなんてそう難しいことではありません。
実際、廃墟を被写体として選出するカメラマンもたくさんいらっしゃいますし、同様の写真集もたくさん出版されています。
言ってしまえば、写真で見ると廃墟は美しいんです。
ノスタルジック、光と影、コントラスト、対比、幾何学文様、植物の絡み具合、いい具合の錆、雰囲気、、、
”美”の根拠を挙げればキリがありません。
写真で見ると、廃墟は本当に美しい存在なのです。
でも・・・!
実物で見る廃墟には、写真で見るような美しさはありません。
いくらでも加工が可能な写真とは違い、目に入ってくる廃墟の描写は一直線であり不動態、ノット変幻自在なのです。
つまり、誤魔化しが効かないと。
他にも、写真には映らない廃墟の負の部分なんていくらでもあるでしょう。
臭かったり、虫がいたり、病原体がいたり、野良人がいたり、単純に危険だったり、黴が発生してたり、、、
とにかく色々。
実際の廃墟探索なんて、危なかったり不快になったりすることの方が多いです。
写真の廃墟が美しいからといって、実際に行ってみた廃墟が美しいとは限りません。
目で見て美しいと感じる廃墟なんて数少ないんですよ。
廃墟の美しさは、写真にしてみて初めて分かるものなのです。
写真で見ると凄かったけど、実際に目にしてみるとそれ程でもなかったって廃墟ありません?
だから、廃墟サイトや廃墟本を見て、廃墟に行こうなんて安易な考えを持つのは良くないですよ。
廃墟は汚いし臭い所なんですよ。
場合によっては大怪我をしますよ。
廃墟はネットや本だけで楽しみましょう。それが安全だし、何より廃墟の負の部分を見なくて済むのですから。
まぁ、でも、実際に廃墟に行ってみるのもけっこう楽しいよ。アハハ
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